オリンピック開催前、1ヶ月ともなれば通常であればお祭りモード!完成したスタジアムや、現地の盛り上がりなどの様子が特集リポートがされるのが恒例です。
ですが、今回のリオ五輪についてはちょっと様子が異なっています。競技会場の建設の遅れ、財政難からの政情不安や治安悪さについての報道の方が多く見られる状況。
現地に行く選手や、オリンピックを楽しみしている人から本当に大丈夫なの?という声が続々と聞こえてきます。
治安についてはブラジル政府の財政支援でなんとか体裁を整え、オリンピック期間中のみ軍隊の派遣、警察官の増員でなんとかしのごうという算段の様です。
治安についてはその場しのぎでなんとかなっても、地元で巨大なトイレと呼ばれる噂のグアナバラ湾の水質改善については既にあきらめモード。
選手はかなり過酷な状況での競技を強いられることとなってしまいそうです。
グアナバラ湾が汚い理由!?
グアナバラ湾についてはこちらでも記事にした通り、湾が陸地に囲まれている地形となっています。30km四方の広大な湾面積に対して湾と外洋の入り口は1.5kmと、とても狭いんです。
そんな、閉鎖された湾を取り囲む都市には約700万人が生活していると言われています。
その生活排水、汚水が下水処理をされずに川を伝って直接、湾に流れ込んでいるというのが現状。排水、汚水だけなくゴミも川に捨てているので、グアナバラ湾は最終処分場と化しています。
700万人といえば日本の人口と比較すると、埼玉県や愛知県、千葉県の人口に匹敵するぐらいの人口。東京湾に生活排水、汚水を垂れ流している状況を想像するとゾッとしてしまいます。
グアナバラ湾周辺の海岸には不要になったソファーや家財道具、自転車などのゴミが山の様に打ち寄せられ、環境汚染で大量の魚の死骸が散乱しています。
開催地に名乗りを上げた当初のブラジルは経済状況にも活気があり、グアナバラ湾の水質改善を約束していました。
計画では、下水処理施設を新たに建設し水質浄化に務める予定でしたが、その後経済が減速悪化して現在、最悪の状態と言っても過言ではない状態に陥っています。
結局、下水処理施設の建設がリオ五輪に間に合わず、水質浄化の目処も立たずに既にあきらめモード宣言を出すに至っています。
今まで何十年にも渡って生活排水や汚水が垂れ流しになっていた訳で、海水の入れ替わりが少ない湾で、しかも30km四方という広大なの湾の水質を数年で改善するというのはちょっと計画に無理があったんじゃないでしょうか。
正直言って、経済状況が良くても水質の改善は不可能だったんじゃないかと思えてなりません。
水質改善はもう無理!で、どうなるの!?
水質が劣悪な状況は世界中のメディアが問題視して、取り上げている訳ですがリオ五輪組織委員会は水質改善の公約の実現が不可能になったことを認めてはいるものの、会場の変更はないと明言しています。
一応、競技に支障が無いように会場周辺にエコ・バリアなるものを設置。
(エコ・バリア=ゴミをせき止める浮き)
そしてエコ・ボート隊を出動させバリケード内に浮いているゴミを人海戦術で回収する作戦を取っています。なんでも名称にエコを付ければいいというものではありません。。。
ウィルス、雑菌だらけの水質はさておき
「水質は最悪だけど、ゴミは浮いて無いから綺麗だよ!!」
「ゴミは無いから安心して競技出来ますよ!!」
ということの様です。
グアナバラ湾の海水の調査で、米国基準の170万倍というウィルスが確認されています。
にも関わらず、浮いているゴミ撤去する程度の対応で競技を開催しようとする姿勢には驚きを隠せません。
選手のことを考えると、もはやラテンの乗りでは済まされない状況です。
リオ五輪組織委員会の神経の図太さには度肝を抜かれてしまいますね。
こんな劣悪な環境で、ウィルスに不安を抱きながら選手の皆さんが力を発揮できるのか?
このまま黙って、本当に競技が開催されてしまうんでしょうかね。。。
Competição de velejo nas Olimpíadas do Rio serão realizaras na Baía de Guanabara, considerada internacionalmente… https://t.co/XLqVM205ZE
— Julio Severo (@juliosevero) 2016年6月10日
グアナバラ湾でスーパー耐性菌が検出される!?
スーパー耐性菌ってなに!?とあまり聞き慣れない言葉。
スーパー耐性菌とは、あらゆる薬が効かない菌の総称です。
今回、グアナバラ湾で検出されたのは「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌」という菌。様々な感染症を引き起こす原因となる菌で、接触感染することが確認されています。
腸内細菌のため、体内に留めるという形で保菌状態になりやすく、また除菌が困難なことが特徴の様です。
健常者が保菌状態となっても何の症状も現れないということですから、感染しているのかどうかも解らない状態で菌を拡散させてしまう可能性もあるということです。
そのため病院内でのブレイクアウト(院内感染)が度々起こっており、日本国内でも病棟閉鎖(隔離)に至った事例もあるそうです。
既にボート競技の五輪選手がグアナバラ湾での練習中に、スーパー耐性菌に感染してしまった事例も報告されています。
また、アメリカチームは菌から実を守るため、抗菌性競技スーツを開発しリオ五輪で着用する様です。
ボート競技では、眼や鼻、口から海水が入ってしまう可能性があるので、フェイスマスクやゴーグルといった対策もしたいところ。
ですが、激しい競技で呼吸の妨げとなってしまうので、顔への防護は難しく水飛沫を通しての感染が心配されるところです。
他に競技が開催出来る海域はないのか!?
これだけ酷い環境汚染のある海域での開催に、なぜこだわるのか!?理解に苦しみます。
リオデジャネイロ周辺には他にも湾や、湖があり会場変更の検討も出来そうなもの。
なのに、変更が検討されることが無いというのも不思議です。
例えば選手村や室内競技施設が集中するバーハ地区周辺でも、よさそうな気がします。
ですが、これだけ水質汚染がメディアに取り上げられてもリオ五輪組織委員会が頑なに会場変更をしないのには、なにか理由がありそうです。
もしかしたら他の湾、湖はもっと酷い環境汚染に晒されていて、既にゴミ流入に対し対策をとっているグアナバラ湾での競技開催が一番ましという状況も考えられなくはありません。
競技を行う選手の皆さんはいくら感染の可能性があるとしても、競技の妨げになるような対策は取れないというのが現実。
もしかしたらオリンピック開催中には何もなくとも、帰国後に影響が出てくる可能性もありますよね。
グアナバラ湾の水質改善は絶望的という状況ですから、選手のケアについては各国がそれぞれ行うことになってしまいそうです。
ゴルフ競技ではジカ熱の影響で海外トップ選手が相次いで欠場を表明。
ボート競技でも、同じような状況が起こるかもしれません。